ペット

2017年4月14日 (金)

お花ちゃんの副鼻腔炎

 動物保護施設から譲渡されて一般家庭で飼育が始まったお花ちゃん1歳が慢性

鼻炎症状がつらいのでなんとかしてほしいと来院された。

 2週間ほど注射・内服でようすを見るが改善しないため 鼻腔吸引洗浄と多血小

板血漿注入療法を提案 実施することとなった。

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5fr. 栄養カテーテルにて吸引すると強粘稠な膿汁が吸引されてきた。

とても鼻腔のみには収まりきれない量なので副鼻腔炎による蓄膿と判断される。

両側吸引後 次に加温生理食塩水にて圧をかけて洗浄すると膿汁が大量に出て

きた。

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 洗浄と吸引を清浄化するまで繰り返し作業してのちに多血小板血漿(PRP)を

注入し10分間鼻腔内に作用させた後残余を除去して終了とする。

 この処置で約半年間本病で苦しんだネコが劇的に改善したことを経験しているた

めお花ちゃんの今後の経過が楽しみである。

2017年4月 8日 (土)

マロンちゃんのイレウス

 10歳のトイ・プーのマロンちゃんがここ数日来の食欲不振、消化器症状で来院し

た。

4-5年前に遅めの避妊手術をしてから、以後なぜか小食になっていたという。

 精査すると後腹部に塊が触知され、エコーで観察すると腸管の蠕動運動を伴う

塊状の病変であることが分かった。さきに麻酔下で浣腸するもまったく塊は崩れず

翌日開腹手術を実施した。

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 後腹部を切開すると肥厚した腸管がさらにその後部に膠着して上がってこない。

慎重に癒着を剥がしていくと、どうもさきに手術を受けたときの子宮断端にガッチリ

と癒着しているようである。癒着した部分を剥がして上げて行くとようやく腸管が

フリーになったが、良く見ると尿管らしきものが巻き込まれていて剥離と同時に切

断されているようすである。

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尿管を接合終了して次は腸管の切除縫合となる。

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肥厚し内腔が狭小となった病変を切除して健康な腸管同志を接合して大網という

胃大弯から発生する網状の組織を利用して接合部を被覆し保護する。

このあと腹腔内を十分に洗浄して閉腹終了とした。翌日、翌翌日と順調に経過し

て 早期に退院となった。

考察するに 避妊手術後から食が細くなったことから早期に腸管が癒合してしまっ

たことによるものなのかと思われる。

肥厚部分は筋層部分が過形成をきたしたものかと思われ、腫瘍性変化は少ない

ものと思われるが、念のための病理検査は必要となる。

2017年3月13日 (月)

ネコちゃんの停留精巣

 1歳の雄ネコちゃんの精巣のひとつが陰嚢に存在せず、かといってソケイ部にも

見当たらないため、腹腔に停留している場合も想定して準備したうえで手術準備を

していると、、、、

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術前にソケイ部にそれらしく触れるモノがあるが、また逃げたりして、でもこれに

間違いないだろうと皮膚小切開口から探索してみると

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 やはり精巣に間違いなかった。袋に入っている正常な方も切除して、最小の侵襲

による手術で両側切除できたのでネコちゃんにとってイイ手術になった。

2017年3月 9日 (木)

撓尺骨骨折 チョコちゃんの場合

 8カ月齢のトイ・プードルのチョコちゃんが高さ約1メートルのテーブルから落下直

後よりビッコをひいていると来院した。

いつものように麻酔下で一気に検査と処置まで実施してみると。

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 手根関節から3センチの位置で骨折しているが、なんとか骨折端は互いが乗っ

かっていて、すれ違うほどの変位はない。

 こういう場合はキャスティングの際のモールディングで変位を矯正することに

よって整復位が保たれる。

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 お約束の多血小板血漿(PRP)を注入してのちにギプスの下巻きを巻いて、

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 モールディングにより骨折部位を整復位に矯正すると、

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 骨折端が嵌り込み、ほぼ良好な整復位が得られた。このあと線維性癒合の間に

再び矯正モールディングにより、より整復位へ近づけることができ、また生体の持

つリモデリングの作用によっても本来の骨の形状に近づいていくことが証明されて

いる。

ただし、最初の2週間は再変位しやすいため厳重なケージレストが必要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年2月21日 (火)

脂肪腫切除

脂肪腫が徐々に巨大化して心配と切除手術することになった10歳のミロちゃん。

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 おちんちんの横に大きく成長した脂肪腫が占拠して寝起きにも少々不自由となっ

てきた様子である。

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 無駄に大きく切開せずに、最小創口より炭酸ガスレーザーのおかげでほとんど

出血することなく脂肪腫を摘出することができた。

他に2箇所小さい同様腫瘤があってこれも同様に切除した。

 明日から快適な生活となることだろう。

2017年1月13日 (金)

ネコの頭頚部がん

 ネコのヒロちゃん11歳が慢性副鼻腔炎の症状で数カ月来苦しんでいる。

転院後の様子を見ていると副鼻腔炎ではなく残念ながら腫瘍の可能性が高い。

 急速な症状悪化に対して一気に画像・細胞診断と治療までを麻酔下で実施する

ことになった。

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 ここで紹介するには忍びないほどに変形してしまった右の顔面だけではなく、

右上顎も腫れてきた。

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 光を増感する色素剤と抗がん剤を混合したものを腫瘍局所内に注入する。

腫れている顔面の病変部位にも同様注入して、

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近赤外線を照射すると局所内の光増感と増温そして抗がん剤の作用により腫瘍

胞が死滅する。

 温度をあげている間に静脈内には高濃度ビタミンC点滴を同時に実施すること

によってがん細胞を相乗的に殺してしまおうという治療の組み合わせである。

これに内服による低用量抗がん剤療法を併用してみると5日目には眼瞼の開閉

が可能になるほどの顔面の腫脹の消退と機能回復そして元気食欲の回復など、

全身状態の改善が見られた。

 このあとも副作用の少ない、QOLの維持を目指した治療を続けてあげたいもの

だ。

2017年1月 7日 (土)

犬の耳鼻科

 明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくおねがいいたします。happy01

                            ー

トイプーのマルちゃん6歳がここ数カ月来、外耳道炎で苦しんでいる。

あまり耳を触らせない子で十分な検査・局所治療ができなかったため、

麻酔下での観察と処置を実施してみた。

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 硬性内視鏡で直接耳道内を観察して処置ができる優れた器械を獣医療にも提

供してくれる環境があるために可能となる処置である。

 大学を卒業したころから比べると夢のような時代になった。

 さて、比較的健康と思われる側から観察洗浄するが、まさかの難航。

思ったより耳垢が溜まり毛と絡み合って繰り返しの洗浄と耳垢・毛混合物を回収し

て、また洗浄して、ようやくすっきり。

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 数か月苦しんでいる反対側に生理食塩水を注入してみると、なんと緑色した膿

充満していた。

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 緑膿菌を想定しての抗生物質治療もしていたが、感受性の問題か、あるいは

バイオフィルム形成等によるものかまったく局所に作用していないようすである。

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反対側に比べて倍の時間がかかってようやく清浄化したが、マルちゃんは快適に

なったことだろう。

 もちろん健康な動物から作成したPRP・多血小板血漿も注入している。

同処置後にPRPを注入する例は初めてだろうから今後の治療反応に期待した

い。

しかし慢性的な耳道の肥厚等の状態からすると、あと数回同治療が必要かと思わ

れる

2016年12月 8日 (木)

カンチョウサイコウ

 タイトルは「カンチョウサイコウ」だけど浣腸最高と浣腸再考の両方正解す(^^)

 1歳のネコちゃんが、お父さん(ヒトの)の靴下を噛んでいたとの稟告のもとに

20回以上の嘔吐と元気消失で来院、内科的処置実施しつつ経過観察するも悪化

するため、麻酔下での検査・処置をしてみると、、、

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 腹部にそれらしき異物が触知されエコーでも異物状の高輝度エコー像が得られ

た。

 腹膜炎兆候ないため、ひき続きとりあえずの加温生食浣腸をしてみると、

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 お父さん(ヒト)の靴下の親指に相当する部分であろう筒状の繊維塊が排出され

一気に触知されていた塊が消失した。  翌日すっかり元気食欲快復。

 開腹手術の前に浣腸施術の必要性を再考させられる症例であった。

2016年11月19日 (土)

第8回多血小板血漿(PRP)療法研究会

 毎年実施されるPRP研究会に参加した。

今年も興味深い講演を多く聞くことができたが、なかでも基本的な「血小板の機能

と生体における役割」 という特別講演において血小板の分子レベルでの構造と

機能についてより詳細に明らかになってきたことが興味深かった。

 また2年前の再生医療等安全確保法施行後から外注でPRPを作成して患者に

投与する際のコンプライアンス・品質管理・輸送時の取り決めなどにも配慮がなさ

れる報告も多くみられ、わたしたち動物医療の立場からも非常に参考になった。

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 例年この研究会で大阪に行くのに合わせて高校1年生の時のクラス会を実施し

てくれる同級生に感謝している。年々元気になる人も多く不思議な集まりとなる。

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2016年11月 7日 (月)

新・電気メスの効果は?

 最近更新なった電気メスを使用して高齢犬の去勢手術を実施してみたところ

良好な使用成績が得られた。

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 バイポーラフォーセプスにて良好な血管シーリングが得られた。

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 縫合糸に反応性炎症を起こしてジクジクする子が最近多くなっている。

皮膚炎が多いのと似ていて、組織の樹状細胞が常に活発化してるように感じる。

 この方法によって縫合糸を使用しないですむので無用な組織反応を減少する

ことがきる。

 これまで炭酸ガスレーザーによる凝固作用で同様の効果が得られていたが、本

方法によってより確実な止血効果が得られる。

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