撓尺骨骨折 ラッシュちゃんの場合
パピヨンのラッシュちゃん3歳が飼い主さんの手から落ちて骨折してしまった。
手根関節近くで骨折して変位がひどい。
小切開エレベーション法にてテコの原理を利用して骨折端を整復後、お約束の
PRPを注入、キャスティングでの外固定をして終了。
PRP作成と確認のためのX線撮影を含めても30分程度で手術は終了できた。
金属を入れることなく、自然治癒力を最大限に発揮させて治癒する方法であり
最小侵襲整形外科手術が達成されるが、骨折端の状況によっては髄内ピンを
初期線維性癒合まで留めることも必要となる。
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骨折端の不安定性の強い別のトイ・プーの症例。
1-2週間髄内ピンを留置していると線維性癒合が起こり、抜ピンしてももう変位
は生じないためその後はキャスティングのみで旺盛な化骨が増生する。
骨髄間葉系幹細胞の誘導刺激や骨膜からの造骨を刺激するためにPRP
(多血小板血漿)療法は常に併用しているし、使わない手はない。
骨折端の骨髄からは幹細胞がこぼれ、そこに血小板からの増殖因子が作用す
れば理想的な生物学的骨癒合が達成されると考える。
エビデンスの蓄積のあるBMP(bone morphogenetic protein)がTGF-β family に
属することが最近わかり、この増殖因子が血小板に豊富に含まれている。
ちなみに骨組織を形成する細胞は破骨細胞以外すべて間葉系由来という
意義をいま一度見直すべき時かもしれない。
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「看護師さんに作ってもらうやさしいPRPの作り方」 の ファイルを贈呈していま
す。ご希望の方はメールでご連絡ください。
(獣医師・医師・歯科医師の方のみとさせていただきます)
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