アレルギー性皮膚炎へのオゾン療法 3
クゥーちゃんがひさしぶりに来院した。
ステロイドジプシーで病院を転々としていたが、手作り食で脱ステロイドまで成功し
その後まだ続く皮膚炎に対して大量自家血オゾン療法でゆっくり好転してきた。
前回の診察からすでに1ヶ月半が経過するが、痒みもなくまったくフケが
出なくなっている、と飼い主さんが喜んでくださっている。
初回のオゾン療法実施後1週間目の皮膚のようすで、このころまだ発疹がひどく
掻痒もひどかった。総白血球数は20000と皮膚炎症状を反映して高値であった。
上の写真から4か月後の昨日のようすで、全体の赤みが消え、発疹の数も
かなり減少している。この間オゾン療法6回に続きフォトセラピー6回の計12回の
酸化療法を施した。総白血球数は7000とゆっくり正常範囲に下がってきた。
フケが多かった体幹や耳介もすっかりきれいな皮膚に戻っている。
ー
この症例は即時型・遅延型ともにほとんどのアレルゲンに対して陰性であった。
ー
Th2・IL-4・IgE・マストセルの即時型とTリンパ球介在の遅延型以外にいまヒトの
アレルギーで新知見としてトピックスになっているSuperTh1・IL-18や好塩基球・
IgGなどのいわゆる自然型アレルギーやIgE非依存型と呼ばれている病態が動物
のアレルギーでも起こっているのは間違いないだろう。
ー
最新のヒトのアレルギーの基礎研究では、白血球百分比で1%を切る好塩基球
の恐るべき素顔が明らかにされつつある。
アレルギー性炎症の場での好酸球と好中球の集族は好塩基球がイニシエータ
ーになっていたというから、顕微鏡的に結果だけを見ていて本当は誰が曲者だっ
たかを見逃していたのかもしれない。
例えばネコの好酸球性皮膚炎の主犯格は好塩基球であって、好酸球は引き続
き起こる免疫事象の結果病変部に出てきて最終的に炎症を起こすだけ、のような
シナリオも考えられる。
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