中枢神経系へのPRP適用
3月15日のブログに書いた椎間板ヘルニアの2匹のうちの1匹の回復が思わし
くない。
グレード3で、内科療法でも当初十分に反応してくる手ごたえがあったのだが、
3週目に入っても排便排尿のコントロール可能なるも支えると10数秒起立可能だ
が、後肢に力が入らない状態が続く。
腰椎穿刺による造影で、最初に条件をまちがったためにほとんど造影剤が吸収さ
れている段階で撮影されているが、腰椎の各椎間板の脊髄への圧迫病変と、第
13胸椎より前に造影剤が流れず椎体腹側に造影剤の漏出があるので、この場所
で髄膜が穿孔していると考えられる。
棘突起という背中側の筋肉がくっつく骨の隆起があって、11番目の胸椎で棘突起
が最も低く、交通事故でもしばしば骨折脱臼の起こりやすい場所であり、この辺り
は犬の背中のウィークポイントである。
今回、麻酔維持と同時に採血してPRPと自己トロンビンを作成した。
これは2回遠心後のPRPでこれを試験管ミキサーで撹拌する。今回2本採れた。
造影後に脊髄針をそのままに使用してPRPを注入した。
数週間後に臨床的に良好な変化が起こることを期待するものだが、少なくとも損
傷した髄膜はフィブリン糊効果によって塞がる可能性が高いと考えられる。
ヒトの脳脊髄液減少症に対して自家血注入(ブラッドパッチ)が行われるが、PRP
のほうがより治療効果が高いかもしれない。
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