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2010年1月18日 (月)

心臓が悪い犬の歯科処置

 

 心臓が悪くて、薬を処方されているピットちゃん 11歳が歯周病で困って来院し

た。

 

 かかりつけの病院では、心臓が悪いので麻酔は危険という理由で、数ヶ月

ペンチで悪い歯を抜かれた、というエピソードを飼い主さんが話してくれた。

キャイーンと甲高い声をあげて泣いた、とつらそうな表情で訴えられた。

 

 聴診してみると、無麻酔でペンチで歯を抜いた獣医師の処置はなんら間違いの

ない選択あったと思えるほどに、これ以上ないくらい心雑音がひどい。

 

 これまで、失神もなく、咳もさほどでないし、舌色も悪くない。なにより飼い主さん

の強い希望に押れて、1週間内服投与の後に麻酔下での歯科処置をすることに

なった。

 

 充分酸素化した上で、吸入麻酔のみで導入・維持して、心電図をとると、たしか

に左心肥大のサインは出るが、QTCという心不全の指標値は案外低い。

 

 次に心エコーを撮ってみると、

100118_001

左心室がこれ以上ないくらい拡大し、箱型に変形していて、円形心となっている。

前尖という前に位置する弁が腫れて、制御のない動きをしていた。これは弁を引

っ張る腱索という線維が切れて、弁がブヨブヨになっている合図である。

100118_002

別の断面で見ても同様であった。収縮時には左心房側に両弁とも逸脱していた。

100118_003

 本来一方通行であるはずの血液の流れが、逆流している。その程度も重度であ

る。心臓の本来のポンプ機能が果たせなくなってしまっている状態だ。

 ヒトでは弁輪縫縮術や腱索再建術など、体外循環装置を使用しての大手術とな

るが、犬では内服の組み合わせで残りの機能を補充していくことになる。

 

 ここまで麻酔の安定を見ながら、歯科処置に入ったが残っていた歯、十数本は

歯周病でやむなく全抜歯を余儀なくされた。

 

 下顎については、長年来の歯周病で下顎骨がペラペラに薄くなっていて、わず

かな衝撃で骨折を来たしそうなほどである。M1という歯を抜くときに歯冠を分割し

から分離された歯根をそれぞれ抜くなど、なんともこちらの心臓にも悪い、神経

を使う症例であったが、元気に日帰りできてい主んも満足してくれたようだ。

100117_006

  昨日午後、時間、天候等タイミングが合って、2週間ぶりに数時間ミニツーリン

にでかけてみた。

 あいかわらずに、ドロンコになってダートで遊ぶオジサンライダーであった。

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