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2010年1月29日 (金)

慢性腎炎の犬

 

 今年に入って数回、てんかん様発作を起こして倒れるので全身検査を本日実施

したミニピンのマックちゃん11才未去勢オス。

 

 咬もうとするので詳細には見えなかったが、歯石が沈着して歯周病がひどそうな

ので、同時にスケーリングも施術することでお預かりとなったのだけれど、、、、。

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 これ以上ないくらい重度の歯石沈着で、すべての歯が動揺歯であった。

結局かろうじてへばりついていた歯は全部抜歯の憂えきめにあった。

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 腹部超音波検査で、両側の腎臓で皮質が異常に分厚く白くなり髄質との境界が

不明瞭である。

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 微妙に腎臓の値が悪く出てくるし、軽度の貧血がある。

尿検査をしてみると、タンパク(++) 潜血(++)である。

 

 総合的に考えると、小型犬の身体全体に占める歯周病範囲の割合は大きく、

歯周病菌に対する免疫反応が長期間に亘って生じたことによるIgA腎症としての

糸球体腎炎体の慢性腎炎か評価できる。

 

 ECGで心不全が出るが、心エコーでは逆流はなかった。

  

 腎臓と心臓の機能不全から、高血圧がベースにあり、一時的にさらに上がる時

にめまいから転倒にいたるもの、と考えられると説明した。

 

 かかりつけ医では年に一回のワクチンのみで、スケーリングのススメはなかった

ように申告する飼い主さんではあったが。

 

 全身に影響を及ぼす口腔内環境である。

 早め早めのスケーリングがたいせつであると、痛感した症例であった。

 

 ACE阻害剤と極低用量ステロイド療法を基礎として治療していく予定であるが、

折りをみて去勢手術の実施を計画しなければならないくらいに前立腺も肥大して

た。

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 病院前の公園のヒカンザクラが春の訪れを告げている。

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