ネコの下部尿路疾患
この数日間、ネコの下部尿路疾患 ( FUS ) で来院する子が多い。
冬季に低温が続くと飲水量が減少して尿が濃くなり、本来尿中に溶け出してい
る成分が結晶化して砂のような結石をつくり、砂時計の砂が詰まるように雄ネコ
の先に行くにしたがって細くなる尿道が詰まってしまい、さまざまな症状を出すの
である。中には病気のまま外に逃げてしまったりして、尿毒症が進行して手遅れ
になってしまうことも経験するほど、命に関わるおそろしい病気である。
本来肉食のネコがトウモロコシが主原料であるドライフードばかりを食べている
と、この病気になりやすい。ふだんから缶詰やレトルト、そして身近な動物性タン
パク、例えばおさしみや煮魚、かつおぶし、にぼしなど、を与えるように飼い主さん
にお話している。
さて、昨日も3匹のネコの処置に追われていた。
尿道を医原的に傷めることなどないように、麻酔下で処置している。
水流フラッシュを利用して、短・長・硬・軟、数種類のカテーテルを使い分けて結石
解除、尿道拡張(要に応じて)、膀胱洗浄などしていく。同時に尿毒症改善のため
に皮下補液を全例に同時に実施している。
中には、尿道粘膜の炎症・肥厚がひどくてブージー(拡張子)替わりにカテーテ
ルを留置して数日後に抜去する、などの処置を必要とする症例もある。
この処置をしたあとには、病院ネコの雄ネコのピーちゃんは必ずわたしの白衣
の臭いをかぎつづけ、そのうちフレーメンをして笑わせてくれるのである。
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