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2009年10月16日 (金)

動物医療の倫理

 自己の治癒力を最大限発揮させ、修復をめざす再生医療を実践していると、

「動物医療における倫理」 ということに思い当たることがある。

 

 (倫理的な動物医療の実施、という医療者側の心構え、とは異なる意として)

 

 倫理はヒトが対象だから倫理と呼べるのだろうけど、動物が対象で倫理の議論

出てくるのだろうか?

 

 たしかに動物医療の対象は動物なんだけれど、治療を求める側も、治療を実践

する側も、それを見守る第三者も、ともに人間である。

 

 再生医療の対極は、人工臓器であり、臓器移植である、とも言える。

 

 イヌ・ネコの慢性腎不全の場合を例にとってみると、ヒトの人工透析・腎移植の

適用に思いがいたる。

 

 人工透析はいわば一時的な人工臓器である。週に数回透析に通うことによって

生活が可能となる。

 

 一方で、腎移植はドナーから当該臓器を手術的操作によって入れ替えられ、免

疫抑制剤の問題は残るが、生着すればそのまま中長期的に生活が可能となる。

 

 ここで、この二つの方法が、すでに日本の動物医療では実際に実施可能であ

る、という事実がある。

 

 人工透析器は動物専用として販売されて、すでに10数年経っている、との記憶

がある。いや、20年近いかもしれない。これは腎不全だけでなく、中毒時の血液

透析にもその威力を発揮してくれる。

 

 腎移植も21年前のウェットラボで、実際目の当たりにして、(もちろん実習を重

ねてからではあるが) わたしも明日からできそうだ、との感触を持ったのを、昨日

のことのように覚えている。

 

 両医療技術ともすでに、このくらいの時間経過があるのに、日本の動物医療で

定着できていない、というところに動物医療の倫理が、関係してくるのだろう。

ただ単に、経済、だけでない、倫理であると感じる。(あるいはヒトと動物間の

現状における社的コンセンサンスと言えるのか)

 

 肝腎要(かなめ)の、かたや肝臓のほうでは、再生医療誌(メディカルレビュー

社)の既にてHGF(肝細胞増殖因子)のDDS技術併用で、肝硬変が治癒し

た論文が見られるし、山口大学第一内科の坂井田 功教授は骨髄幹細胞移植

で肝硬変治療に成果をあげておられるなどを読むにつれ、人工臓器や臓器移

植に伴う、倫理の壁・ハードルの高さに対意識、を意識せずにすむ時代に

なりつつある、ことを実感する。

091016tvh_165

再生医療  2007. 2  Vol. 6  No.1  カラーグラビアより

(DDSを用いた内科的再生医療、遺伝子ー細胞ハイブリッド治療

                                   京大  山本 雅哉ら) 

 

 先日、卒後2年目の同窓の獣医師と話をする機会があった。彼は大学でイヌ

避妊手術の実習をしていないという。28年前に、いまと比べて格安の授業料

の時に卒業したわたしでさえ、在学中何度かあったのに。

 理由は、動物愛護団体からのプレッシャーが強くて、思うように実習ができな

らしい、という事情のようであった。

 

 さまざまな事情が動物医療界をとりまいてきたようだ。

 

 さて、この橋を渡るべきか?

 未知の世界につながる橋は、このように脆弱な橋のイメージなのかな?

091010_016

 

 

 

 

 

 わたしは、とりあえず、バイクを降りておそるおそる歩いて渡って確認してみるこ

とにした。 (こわいもの知らずのようでいて、とてもこわがりだ。)

 この先に続く道は、尾根伝いの、幅のほとんどない、木のネッコがツルッツルッ

それはそれはスリリングな、魅力に満ちたオフロードだった。 

  うーん、やめられませんな。

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