ヤンバルクイナ
先日、ヤンバルクイナ保護活動で有名なナガミネ先生から電話をいただいた。
ネオパークオキナワで保護・飼育されていたヤンバルクイナが15歳で死亡したそ
うだ。何年生きれるのかは、まだ不明なので、この個体が長生きできたのかは今
後判明する、ということらしいが、どうも心臓に問題が起こっていたらしい。
記録によると14年前に交通事故で受傷、大腿骨骨折の整復手術をわたしが担
当した。何羽か手術させていただいた記憶があるが、そのうちの一羽がその後
14年間も生きて子供3羽までもうけた。
貴重な野生動物に触れさせていただく機会はそうそう一般の方では希望しても
ないことだろうし、まさに一期一会のヤンバルクイナとわたしとの出会いが、14年
後に感謝の言葉をちょうだいしながら思い起こされることになろうとは、その時は
予想もしていなかった。
忙しいところを電話で詳細なことまでお話いただいたナガミネ先生に感謝した
い。
そういえば、国頭村の畜産団地が建設されたころ、まだヤンバルクイナが新種
として発表されていない時に、往診中路上でよくヤンバルクイナをフツウに見てい
たのだが、新種と発表されてから、ええっそうだったのか、ととても驚いた、という
ことをその当時愉快に教えてくださった、産業動物医のコウサカ先生もお元気に
ご活躍されていることと思います。
しかし、なによりもよく覚えていることは成功例よりも失敗例である。
やはり、当時別のヤンバルクイナが事故で運ばれ、わたしが手術することになっ
た。その時なぜかおおぜいのマスコミが集まった。先の例と同じ大腿骨骨折であ
る。同じように手術をして同じように麻酔覚醒を待つが、覚めない。次第に心機能
低下に陥り、死亡してしまった。多発性外傷という言葉があるが、太ももの骨が折
れているくらいである、内臓の損傷、臓器不全があったのであろう。翌日の新聞・
テレビでは、せっかく保護された個体が手術もむなしく死亡してしまった、と好意的
ともそうでないとも取れるようなニュアンスで報道された。
今より15歳も若い当時のわたしのココロはやはり今より15歳若かったようだ。
もちろん、死亡した個体には申し訳ない気持ちでいっぱいであったが、なにもうま
くいかなかったときだけ、マスコミが集まらないでも、という、トホホな気分?であっ
たと記憶している。
いずれにしても、このような貴重な野生動物に触れさせていただける立場である
ことに感謝して、微力ながらもエコロジーシステムを守っていく手立てをともに考
え、今後の活動のひとつにしていきたいと思っている。今は海洋緑化再生に興味
があって知識を仕入れているところである。
4年前にちゅら海水族館で会った、人工尾びれのフジ
ウエダ先生たちの熱意で再び泳げるようになった。
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