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2009年9月12日 (土)

門脈体循環シャントという病気

 昨日、本土の飼い主さんから食事に関する問い合わせがあった。

 

 3歳弱のヨーキーが門脈体循環シャントという病気だとわかり、数ヶ月前に手術

たが、その後の食事についての相談であった。

 肝細胞の再生増殖のためには高タンパク食が必要だし、とても好んで食べてい

るのだけど、総胆汁酸という指標が高タンパク食にすると上がってしまい、その

ジレンマに悩んでおられたのだ。

 

 先天性門脈体循環シャントは生まれつきの血管奇形であり、本来胃腸とすい臓

と脾臓から門脈を経由して100%肝臓に還るべき血液が、シャント血管という異

常血管が形成しているために、肝臓に戻らずに、素通りして心臓に還ってくるた

め、肝臓が発育不全となり、解毒機構が働かずに、さまざまな症候を呈するとても

つらい病気である。ここまでの飼い主さんのご心痛がこちらも痛いほどにわかる、

重篤な病気である。

 

 本来肉食のイヌだがタンパク質を食べると、分解産物であるアンモニアが

多く生成される。本来ならば肝臓の解毒機構により、身体に無害な物質になって

体外に排泄されるのだが、発育不全の肝臓には能力がなく、アンモニアはじめ、

腸管内で発生した毒素なども身体中をかけまわることとなって、非常に気分が悪く

なるのだ。食事を摂取すると気分が悪くなる、ということになる、なんと読んで字の

如く殺生(せっしょう)な病気だろうか。尿酸やアンモニアが尿中に排泄されるので

尿酸結石もできて、これに気づいて本病が認識・発見されることもある。

 

 超音波エコーとレントゲンにより、小さい肝臓と肝内門脈血管の低形成、あるい

は膀胱内結石、血液生化学的検査で総胆汁酸の高値、などで診断される。

 

 治療法は異常に形成されたシャント血管を外科的にふさぐことであるが、発見さ

れた年齢や、シャント血管の動態によってさまざまな選択肢が発生する病気なの

で主治医と充分話し合うことが、他の病気に比べてもより重要になる。

 

 なにより、いくら小型犬でも体格が小さすぎるとか、食事を思うように取らない

とか、食事をとると気分が悪そう、あるいはふらつくとか、子供なのにオシッコに砂

や石が混ざる、などというときには本病が疑われるので、主治医に相談すべきで

ある。取り越し苦労に終わったとしても、今後のためにも確認できたということで

よしとして、もし本病であれば、対策が早ければ早いほど予後がよいので。

090825_663

 

てんかん発作を主訴とする4歳のマルチーズで、本病が判明した症例で、手術を

したところ、現在2年経過するがとても元気で毎日が過ごせている。腸間膜静脈に

力を測るための柔らかい針を留置して、それをモニターの血圧計につないだり

と、かなり大掛かりな手術になる。

090825_680_2

カンシをくぐらせているのがシャント血管である。 

多くは胃の裏側で蛇行する太い血管として確認される。

表現としては憎憎しいほどの太さ。

この症例では血管内の乱流が肉眼でよく観察され、おどろおどろしい?感じさえし

た。

モニターで門脈圧を見ながら縫合糸で締めていく。

 

 

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